11月4日、東北電力ビッグスワンスタジアムで行われた第87回天皇杯全日本サッカー選手権大会4回戦。試合終了後にあってはならない出来事がありました。アルビレックス新潟の敗戦に腹を立てた一部サポーターが暴徒と化し
1. アルビレックス新潟の選手を乗せたバスの正面に飛び出し
2. バスの進路を妨害し、威嚇行為及びバスに物を投げる危険な行為を行い
3. バスのサイドミラーを破壊する行為等
が行われました。(上記3点、アルビオフィシャルサイトより転記)
クラブは事件から4日後の11月8日、オフィシャルサイトに選手バス襲撃の事実と、これらが『許されない行為』であることを公表し、事情聴取後に関係者を処罰すると発表しました。選手という、我々サポーターにとって(クラブにとっても)宝とも言える人間が乗ったバスに、集団的暴力を行った悲しい出来事。この行為にまずはクラブが「NO!」の態度を示したことを、サポーターとして感謝の意を表します。
しかし今回、事件が起きた日曜からクラブの正式発表が行われた木曜まで、4日の空白期間がありました。バス襲撃は翌日月曜に新聞記事にもなっているというのに、クラブは木曜までの4日間、なにがあったのかも発表せず、また、今後どのような対応をするのかも示さずにいました。常識的に考えて、社会性を持った企業の対応としては、あまりにも行動が遅いのではないでしょうか。
『クラブは問題意識を持っていないのではないか?』
疑問を抱いたサポーターが、今回の件について直接クラブに質問しました。月曜夜のことです。ところがクラブからの返答は、落胆するものでした。結論から言えば「おとがめ無し」だったのです。
─ サポーターの1人がミラーを割ってしまった事実は把握しているが、事件性があるとは思っていない。当事者とは話し合いを継続していくつもりだ ─ という内容。さらに、バスの損害補償は誰がするのかという質問に対しては、社会的に当然と思われる『弁償させる』という回答が得られませんでした。それどころか、もしかするとクラブが支払うつもりなのでは? とも受け取れる内容だったのです。
『このままでは、間違いなくうやむやにされてしまう』
危機感を抱いたサポーターの呼びかけで、火曜夜にサポーター有志約70名が集まりました。深夜まで話し合った結果、要点を2つに絞ってクラブに嘆願書を提出することにしました。
1、選手の乗車したバスに対する一部サポーターの行動を公表し、実行者に対するクラブとしての処分を公表すること。
2、修理費が発生した場合、その負担者を明確にすること。
その場にいた約70名が署名し、水曜の夕刻に代表者の岡田と小野が、株式会社アルビレックス新潟代表取締役社長の中野幸夫氏に嘆願書を手渡しました。
その場の話し合いでは、バス修理費は該当者に弁償させると返答されたものの、関係者への処分については明確な返事を得られないまま。今回は天皇杯で起こった出来事であり、Jリーグの規定をそのまま持ち込むのは難しい(※)というのがその時のクラブ側の意見です。(※天皇杯は日本サッカー協会主催。Jリーグ主催のリーグ戦やナビスコカップとは異なる)
『クラブはまったく危機感を感じていない』
あまりのショックに岡田は感情を抑えきれず、その場で涙して訴えました。
「暴力に対して決然とした態度をクラブがとらないのであれば、やがて一般客の足が遠のき、ガラガラのスタジアムになってしまう」と。
翌日の木曜夕刻。クラブはオフィシャルサイトに今回の騒動の公表と、関係者を事情聴取後に処分することを発表しました。クラブにはサポーターから多くの抗議メールが届いていると聞いています。今回のクラブ側態度の急激な変化については、岡田の訴えが功を奏したのか、あるいは別の要因があったのか、そのあたりは正直なところ分かりません。
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私たちは今回の件で、暴力行為に対して迅速に「NO!」と公表できなかったクラブの姿勢を問題視します。さらに言えば、何が問題なのかが分かっていないとしか見えない、クラブの危機管理能力に不安を感じました。
兇行した本人が水曜にクラブハウスで選手と面会していますが、 練習後の汗もそのままの選手に、寒風の屋外の部外者進入禁止エリアで当該行為を行った人間と直接会わせるという無神経さにも、驚きと怒りを禁じえません。
子供から老人まで、いろいろな人が集まるのがアルビサポーターの特徴であり、また、私たちアルビサポーターの誇りでもあります。暴力に対して迅速に、厳正な対処ができないクラブでは困るのです。
安心できない場所に、あなたは行きたいですか?
あなたの両親をつれて行けますか?
あなたの子供をつれて行けますか?
子供から老人まで、満員のスタジアムで安心して『アイシテルニイガタ』と歌い続けるためには、何が必要なのでしょう。
今回のバス襲撃に加わった人への仮処分と、継続して調査することがクラブから公式に発表されました。しかし、これですべて幕引きではありません。